【予防・改善】アルツハイマー型認知症で知っておきたいこと

クルクミン(ウコン)

ウコンに含まれるクルクミンという成分は、アルツハイマー病の抑制に加え、様々な病気から体を守るスーパー食材。毎日の食生活を見直せばアルツハイマー病に怯えることはありません。健康でイキイキした老後のために今日から予防を始めましょう。

ウコンとは?

ウコンといえば、ここ最近では飲み会前に服用して二日酔いを防ぐというイメージがすっかり浸透。また、カレー好きの方にとっては、カレー粉の黄色いスパイスであるターメリックとしてもお馴染みですね。こうしたスパイスとしての約割はもちろんのこと、近年すっかり定着した肝臓機能改善効果は広く知られるようになりました。

ウコンの黄色い色素「クルクミン」に注目!

実はこれら以外にも、ウコンは多方面にわたる健康効果が期待できる成分なのです。その効果をもたらしてくれるのが、特徴的な黄色の色素である「クルクミン」です。とりわけ、このクルクミンは、アルツハイマー病の予防に効果があることが分かってきています。

アルツハイマー病は脳にβアミロイドというたんぱく質が蓄積し、神経細胞を殺してしまうことで進行する病気なのですが…クルクミンには、βアミロイドが蓄積するのを抑えたり、すでに固まりつつあるβアミロイドを分解する効果、また神経細胞自体を守る効果があることがわかりました。

クルクミンの研究のはじまり

このクルクミンがアルツハイマー病の予防に効果的だと発見したきっかけは、他ならぬカレーたったのだそうです。カレーの本場といえばインドですが、実はインドでは、70歳代のアルツハイマー型認知症の患者数が、アメリカに比べて、1/4程度にとどまっているというデータがあったとのこと。

また、野菜中心&ウコンを日常席に摂取するという、とある北インドの村ではアルツハイマー患者が出ること自体が稀なのだそうです。ちなみに、この村の住人の遺伝子には、アルツハイマーが少ない特別な理由といったものは特に発見されなかったそうです。そのほかにもこの村は食生活や自然に恵まれており、ストレスが少ない・家族の絆が強いといった精神的要因があるために、アルツハイマーと無縁なのだとか。

こうしたデータをきっかけに、カレーの成分であるクルクミンが、アルツハイマー抑制に効果をもたらしているのではないかと、研究がスタートしたのだそうです。

インドがアメリカと比べて、アルツハイマー型認知症発症率が低いというデータは、アルツハイマー病治療薬の開発研究に関する論文に、参照として記載されているものです。この論文は、京都大学大学院薬学研究科に在籍している方によって作成されており、研究結果は実際に、アルツハイマー病治療薬の開発に役立てられています[1]。

2002年富山大学 東田千尋氏が発表した研究結果

まず、ひとつの結果が出たのは2002年。富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物研究センターの薬効解析部助手であった東田千尋氏(現在は准教授)は、マウスを使った動物実験を実施しました。アミロイドβを海馬に注入されたマウスを、クルクミン入りの餌を与えた群と与えなかった群に分け、水迷路試験を行ったのだそうです。すると、クルクミン餌投与群はクルクミン餌を投与されなかった群に比べて、優位で、かつ正常なマウス群とも同程度の成績を保持したのだそうです。東田氏はクルクミンがアルツハイマー型認知症を予防するものとして発表しました。

こちらの研究結果の発表は、公益社団法人日本薬学会から刊行されている「ファルマシア」に掲載されていました[2]。現在、この論文が掲載されているファルマシアは、286の大学図書館に所蔵されています。富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物研究センターは、難治性の疾患における治療薬を見つけるために、現在も様々な方面から研究を行っているところです。

2007年金沢大学 山田正仁氏と小野賢二郎医師らが発表した研究結果

さらに2007年には、金沢大学 大学院医学系研究科 神経内科教授の山田正仁氏と小野賢二郎医師らの研究によって、クルクミンの認知症改善効果も発表されました。アミロイドβタンパクにクルクミンを加えたことで、凝集・線維化が、大幅に抑制され、その抑制効果は、クルクミンの濃度が高いほど顕著に認められたのだそうです。加えて、すでに線維化したアミロイドβタンパクにクルクミンを加えることで線維が分解(不安定化)されるということも証明されたのだそうです。

こうしたことから、日常的にクルクミンを摂取しているとアルツハイマーを発症する確率が下がることは大いに期待できそうです。前述の通り、インド全体を見ても、アメリカと比較して1/4ほどしかアルツハイマー患者がいないですから、やはりウコン=クルクミンの力は偉大なようです。

この山田正仁氏による発表は、2007年8月に開催された「第8回カレー再発見フォーラム」による、ご本人の講演をまとめたもので見ることができます[3]。この講演の内容を見ると、アルツハイマー型認知症だけでなく、パーキンソン病やレビー小体型認知症にも効果が期待できるとあり、脳機能の活性化には欠かせない成分であることがわかります。

研究が進むクルクミン

クルクミンは経口摂取では、血液から脳への異物侵入を防ぐバリアを突破することができず、実用化には難しいところがありました。しかし最近の研究で、噴霧器で吸入すると効率的に脳に届き、βアミロイドと結合して作用することが発見されたそうです。クルクミンは分子構造が単純であり生成するのにも費用はさほどかからず、噴霧器もすでに市販されているもので充分、とのことで、新しい薬が期待されています。

そもそも、クルクミンを経口摂取した場合は、血液中に入ることすら難しいといわれていました。日本農芸化学会の「クルクミンの吸収代謝と生理作用発現の関係性」という論文によると、クルクミンの小腸からの吸収量はごく僅かであり、さらに体内の代謝によって少なくなるため、血液中への移行は少量となると記載されています[4]。脳に限らず、肝臓や血漿中など、いずれの部分にもクルクミン濃度の低さを認めています。

クルクミンを効果的に摂る方法

クルクミンは黒コショウ成分のピペリンと同時に摂取すると、腸管膜での代謝吸収の改善が見られ、生体内利用率が大幅に上昇します。

さらに、クルクミンは油に溶けやすいため、油と一緒に摂ると吸収が良くなるということもわかったそうです。つまり、市販のカレー粉の中でも、黒コショウが配合されているものを摂れば、クルクミン吸収率は高まると思われます。肉の脂が入ったカレーは理にかなっているということですね。お肉を入れたカレーはカロリーが高めになりますので、鶏肉や大豆を使ったり、野菜カレーなどにすると良いでしょう。

クルクミンの効果を発表した論文によると、クルクミンの油溶性の性質、吸収率の低さ、代謝の早さなどを改善するための方法として、ピペリンとの同時摂取の他に、粒を細かくすること、クルクミンリン脂質という成分との複合体にする、などの試みが行われてきたそうです[5]。こちらの論文は、歯周組織に対するクルクミンの炎症抑制効果を調べたものですが、クルクミンの働きについても触れられています。

アルツハイマー予防以外にも、嬉しい効果がたくさん

クルクミンには肝臓機能強化、アルツハイマー予防以外にも悪玉コレステロールを減少させたり、活力の元であるアドレナリンの分泌を促したりする効果があります。また、活性酸素除去に関しては効果が高いといわれているビタミンCやビタミンEよりも即効性が高く、ガンの抑制などにも活躍してくれる成分なのだそう。

クルクミンを使った薬や治療はかなり増えてきており、以下のような症状の治療にも応用されています。

生活習慣病 アセトアルデヒドの代謝、心筋梗塞、心不全、心肥大、動脈硬化、糖尿病、肝機能、腎疾患、肝疾患、メタボ
脳神経疾患 アルツハイマー病、パーキンソン病、癇癪
がん 乳がん、子宮頸がん、腎臓がん、口腔がん、すい臓がん、皮膚がん、大腸がん、QOL(生活の質)向上
炎症 アレルギー、胃潰瘍、炎症性腸炎、関節炎、リウマチ、潰瘍性大腸炎、膵炎
感染症 マラリア、HIV

こんなに多くの症状に働きかけてくれるそうですから、是非積極的に摂取したいですね。もちろん、サプリメントでクルクミンを摂ってもOKです。ただしサプリの場合は、妊婦さんや腎臓病のある方、胆石のできる方は医師に相談して取り入れるようにしてくださいね。

効果的な摂取量

「食品安全委員会」からの評価によると、1日のクルクミン摂取量の目安は、「体重×3mg」とされています。つまり、体重が60キロの方であれば、180mgが摂取量の目安です[6]。

ですが、クルクミンは過剰摂取によって体に悪影響がある成分ではないので、1日の摂取目安量を超えてしまっても、特に体への影響はないと考えられます[7]。

クルクミンを食品のウコンから直接摂取するという方は少なく、おそらく大抵の方は、サプリなどの栄養補助食品から摂取すると思われます。サプリにはクルクミン含有量が明記されているでしょうから、その記載を見てサプリを選んでください。

また、アルツハイマーに効果を発揮してくれる成分は、クルクミンだけではありません。その他にも、プラズマローゲンやナットウキナーゼ、アスタキサンチンなどの成分が効果的だといわれています。

どの成分も脳機能老化を予防してくれる働きが期待できますが、それぞれ少しずつ効果が異なってくるため、たくさんの成分を検討して、ご自身に合った最適なものを見つけてください。

[1]

参考:公益社団法人日本薬学会『(PDF)ベータアミロイド仮説に基づくアルツハイマー病治療薬の開発研究』

[2]

参考:CiNii『カレースパイス成分のクルクミンがアルツハイマー痴呆を予防する』

[3]

参考:ハウス食品株式会社『(PDF)認知症と食生活の関係を探る』

[4]

参考:日本農芸化学会『(PDF)クルクミンの吸収代謝と生理作用発現の関係性』

[5]

参考:特定非営利活動法人 日本歯周病学会『(PDF)歯周組織の炎症に対するクルクミンの効果』

[6]

参考:食品安全委員会『食品安全関係情報詳細』

[7]

参考:独立行政法人 国立健康・栄養研究所『(PDF)健康・栄養ニュース 第15号』

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