【予防・改善】アルツハイマー型認知症で知っておきたいこと

アルツハイマーの発症原因

アルツハイマー病の基礎知識を身につけて、自分や家族が発症しないよう日頃から気をつけておきましょう。ここではまだ完全には解明されていないアルツハイマーを引き起こす複雑な原因のうち、重要だといわれている3つの要素について紹介します。

徐々に解明!アルツハイマーの原因とは?

アルツハイマーという病名は広く知られるようになりましたが、その原因はいまだに完全には究明されていません。もちろん原因を究明するための研究は継続して行われているものの、アルツハイマーは一つの原因で起こるわけではなく、人によって原因も違います。遺伝や生活習慣、環境など個人差の大きい要因がアルツハイマーを引き起こしている可能性があり、しかもこれらの要因が複雑に絡み合っていることが原因の特定をより難しくしているのです。

原因1.加齢によって脳内に生成される「老人斑」

年を取ると、脳の神経細胞は徐々に死滅していきます。その死滅したことによって生じるもつれを補うために、βアミドロイドというたんぱく質が生成され、それが大脳皮質などに沈着した状態を「老人斑」または「アミロイド斑」と呼びます。この老人斑が、アルツハイマーの原因のひとつだという説があるのです。[注1]

この老人斑は次第に大きくなり、周囲の神経細胞を圧迫しながら同時に細胞にダメージを与えて神経細胞の死滅を加速させます。死滅した神経細胞はさらに老人斑を成長させるため、ダメージが広がってしまうのです。アルツハイマーの症状の一つに、ついさっきのことが思い出せない、というものがありますが、これは短期的な記憶をつかさどる側頭葉の海馬へのダメージが影響していると考えられます。海馬に老人斑ができてそれが成長することによって短期的な記憶が失われてしまい、「さっき食べたご飯が思い出せない」「同じことを何度も言う」といった症状が現れるのです。

※参考元:[注1]同志社大学大学院 生命医科学研究科

老人班はアルツハイマーの結果としてできるという説も

ただし、一方で老人斑はアルツハイマーの原因ではなく、結果としてできるものだという説もあります。アルツハイマーを引き起こす別の物質がβアミロイドの生成を促すものの、アルツハイマーが発症する段階ではまだβアミロイドは沈着を起こしておらず、老人班にはなっていないという研究データもあります。つまり、アルツハイマーを引き起こしているのは老人斑ではなく別の物質であり、老人斑点はその結果に過ぎないということになりますが、いずれにしてもβアミロイドがアルツハイマーの発症に関係しているというのが有力な説であることに変わりありません。

原因2.遺伝的要因としては、複数の遺伝子が特定されている

アルツハイマーは、遺伝子の数の変化が原因となって発症するケースがあるということは、以前から明らかになっています。しかし、人間の遺伝子は約2万個もあり、そのどれがアルツハイマーの原因になるのかを特定するのは困難でした。

2017年、東北大学大学院生命科学研究科の牧野能士准教授らのグループは、人間の持つ遺伝子のうち約30%を占めるオオノログという遺伝子群に注目。オオノログの数の変化に弱いという性質を利用し、アルツハイマーの原因となる遺伝子を多数特定することに成功しました。[注2]

また、全体の5%を占める「若年性アルツハイマー」は遺伝による要素が大きいと言われています。65歳以下で発症するのが若年性アルツハイマーであり、老年性のものよりも進行が速いのが特徴です。その中で遺伝子の変異によっておこる遺伝的要素が原因となっているものを「家族性アルツハイマー病」と呼んでいます。

このような特定の遺伝子をもっているからと言って必ず発症するというわけではありません。しかし、発症リスクが高い状態と言えるため、特定の遺伝子を持っていることが分かった場合には予防を心がけることが大切です。

※参考元[注2]東北大学大学院生命科学研究科

原因3.環境や習慣がアルツハイマーの原因になる

毎日の習慣や環境も、アルツハイマーの発症に関係している場合があります。中でも生活習慣病である高血圧や糖尿病はその原因となることが最近の研究によってわかっています。こうした生活習慣病は、脳の血流を妨げ、その結果記憶力の低下などを引き起こすのです。毎日の生活習慣を改善し、高血圧や糖尿病を予防することが、アルツハイマー発症のリスクを減らすと考えられます。

食事面で気をつけることは?

食事面では、ビタミンEの多い食べ物が発症抑制に良いという研究結果が出ています。そのほか、ビタミンB群、ビタミンC、βカロテン、カルシウム、亜鉛、鉄などのミネラルが少なく、脂肪やコレステロールが多いと認知機能が低下する、という報告もあるので、やはりバランスの良い食事は大切。具体的にはビタミンC、E、βカロテンを多く含む野菜や果物、DHA、EPAが豊富な魚類、ポリフェノールを含む赤ワインなどが挙げられています。

近年色々といわれている「喫煙」ですが、タバコとアルツハイマーの直接的な関係はまだわかっていません…が、喫煙は高血圧や脳卒中など、アルツハイマーの引き金になる病気を引き起こすので控えたほうが良いでしょう。

日々の生活で気をつけることは?

体をよく動かす、新聞・雑誌を読む、ゲームをする、博物館へ行く…など、日頃から体や脳を使うことが多い人は比較的アルツハイマーを発症しにくいのだそう。年を取っても新しいことにチャレンジしたり、刺激を受けるのはとても良いことです。例えば、「2、3日前の日記を書く」、「レシートを見ないで家計簿をつけてみる」、「料理を作るときに、一度に何品か同時進行で作る」、「旅行プランの計画を立ててみる」、「効率のよい買い物ルートを考えてみる」といったことも有効と言われています。

睡眠障害や睡眠不足も原因のひとつと言われているので、規則正しい生活をすることを心がけましょう。起床後2時間以内にしっかり太陽の光を浴びることが良いと提唱している研究者もいます。また昼間に30分程度昼寝をすることが有益だということもわかってきました。

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