【予防・改善】アルツハイマー型認知症で知っておきたいこと
ここではもし家族が「もしかしてアルツハイマーかも?」となったときの対応、利用できる様々な制度、症状が進行する前に準備しておきたいことをまとめています。アルツハイマー病の基礎知識を身につけて、身近な人や自分が発症しても慌てないようにしましょう。
家族は、毎日家のどこかしらで顔を合わせるとても身近な存在。それだけに、お互いのちょっとした変化にもすぐに気がつくものです。もし、「最近物忘れが増えてきた」「大事な物を失くすことが増えた」など、認知症の症状が出始めたら、まずはなるべく早めに医療機関を受診するよう、促しましょう。
認知症の症状が出るのはアルツハイマーに限らず、「慢性硬膜下血腫」「正常圧水頭症」など、早期診断・治療をすれば確実に治せるものもあります。また、アルツハイマー型認知症は治すことができない病気ですが、医師の適切な投薬・リハビリを早期段階からしっかり始めることで、症状の予防・改善できる可能性があります。
介護する家族も、病気の知識がない状態では正しいケアできず、場合によっては症状を悪化させてしまうこともあります。やはり、病院で専門家からしっかり対応の方法を教えてもらうのが一番です。
アルツハイマー型認知症となった患者が起こす可能性のあるものとして、「介護拒否」というものがあります。簡単に言えば、介護をしようとしても患者がいうことを聞かない、介護を拒否してくるという事態のこと。
例えば、世話を焼かれることに対して怒る、薬を飲むのを嫌がって飲まない、お風呂に入るのを嫌がる、着替えを拒否したり、着ていた物を隠して洗濯させないなどがよく見られます。そうなってしまう原因として考えられるのが、そうした行為が本来よいこと、役に立つことを忘れてしまっている可能性が高いのです。
例えば、薬を飲まない理由として、自分が病気であると認めたくないないという場合もあれば、薬が苦い、飲みづらいといったことを理性で我慢することができなくなっている場合も考えられます。
着ていた物を隠す行為は、汚れた物が恥ずかしいと思う場合もあれば、自分の物が盗られるのではないかという妄想にとりつかれている場合もあります。
こうした場合、介護をする側にしてみると、つい無理やりやらせようとしたり、責めたり怒ったりしようとしてしまいますが、それは逆効果。余計にかたくなになったり、ときには暴力をふるってくることも考えられます。しばらく様子を見て、機嫌が治ったときに、さりげなく勧めてみるといったやり方を行うのがよいでしょう。
ただし、薬の拒否に関しては、病状の悪化を招く場合もありますので、あまり悠長なことは言っていられません。医師に相談の上、飲みやすい形状の薬にしてもらう、食事と一緒に摂らせるなどの工夫を行うべきです。
ユマニチュード(Humanitude)とは、認知症の人をケアするための新しい方法。イブ・ジネストとロゼット・マレスコッティという、体育教師の経験を持つ2人のフランス人によって確立されました。
見る・話しかける・触れる・立つという4つを中心として、全部合わせると150もの方法があります。これを取り入れることで、薬の使用が減ったり症状が改善したなどの効果が報告されています。ここでは簡単に、それぞれの方法を解説していきましょう。
患者さんの正面で、目の高さを同じにして近い距離から長時間見つめあいます。お互いの存在を確認でき、対等だと感じられるそうです。
優しく前向きな言葉で繰り返し話しかけます。できる限り目を合わせて話しかけることで、脳を刺激します。
優しく背中をさする、歩くときにそっと手を添えるなど、安心できるスキンシップをします。どこに触れるか言葉で教えてあげると、より安心感を得られます。
寝たきりにならないように、歯磨きや体を拭くときなどには自力で立ってもらいましょう。筋力の低下を防ぐ&視野を広げて情報量を増やし、脳を刺激する効果があります。
分かるとおり、難しいケアはありません。全て簡単にできる上、既にアルツハイマーの家族を介護している方は実践しているケースも多いのではないでしょうか。この方法の大きなメリットは、患者に「私も同じ価値ある人間なんだ」「大切にされているんだ」と感じさせることができ、ケアを行う者との信頼関係が生まれるという点です。
ただし、上辺だけを真似するのは逆効果。真に心を込めて行うことが重要とされています。大切なのは、患者さんの進行段階に応じて、適切なケアから取り入れること。まだまだ元気に動けるのに寝たきり患者に行うようなケアをしてしまうと、患者さんが気分を害して家族の介助を受け入れなくなってしまうかもしれません。
アルツハイマー型認知症は初めのうちは物忘れ程度ですが、進行すると家族だけでは手に負えない状態になることがあります。そういったときに焦らないよう、事前に必要なところへ相談して、準備を進めて起きましょう。
どこの市役所でも、市民の健康に関する相談を受け付けてくれる窓口があります。中には認知症や介護に関する専門の窓口を用意しているところもあるので、自分の住んでいる市がどんな取り組みをしているのか調べ、一度相談にいきましょう。そこで必要になる手続きやしておいたほうが良いことを教えてくれるはずです。
症状が進んでくると介護サービスが必要になりますが、そのとき「要介護」「要支援」などの認定を受けておくとスムーズにサービスが受けられます。また、介護サービス利用時の金銭支援なども受けられるので、積極的に利用しましょう。
ちなみに「要支援1」であれば、日常生活はまだ自分でできるものの、要介護予防の支援が必要な状態であればOK。市によりますが月額約50,000円ほど支援があります。
徐々に介護ケアが必要になると、様々なサービスや介護用品、定期的な訪問サービスなども利用するかもしれません。その際、信頼できる介護事業者やケアマネージャーを見つけておくと話がスムーズに進み、家族側は要望を依頼するだけで済むので余計な苦労をすることがありません。
担当者・企業によっては患者さんのことより自分達の利益ばかりを優先することもありますから、慎重に選びましょう。
日本では平成12年4月に介護保険法が施行され、介護保険制度がスタートしました。介護保険制度は、日本国民全員が40歳になった月から加入して、毎月決められた保険料を支払うことで、介護が必要となった人が適切な介護サービスが受けられるように、みんなで支え合う仕組みです。
とても有意義な制度ですが、申請方法や料金システム、受けられるサービスが分かりにくいので、まだまだ介護サービスが必要なすべての人に利用されているとはいえません。
そこでここでは、介護保険のサービスを受けるにはどうすればよいのかについて解説します。介護保険の申請方法や受けられるサービスの種類についてみていきましょう。
介護保険制度を利用することで、介護サービスを受けた場合の経済的な負担を大きく減らすことができるようになります。しかし、ただ介護保険料を支払ってきただけでは介護保険制度の適用を受けることはできません。
介護保険制度の適用を受けるためには、一定の手続きや申請が必要になります。ここでは申請方法の流れを順を追って説明していきます。
以上が介護保険の申請から認定までの流れになります。判定の結果、要介護認定を受けると、それに応じた介護サービスを受けることができるようになります。それでは次に、介護保険サービスにはどのような種類があるのかについて説明します。
介護保険で受けることができるサービスは、大きく分けると、「居住サービス」「支援サービス」「施設サービス」の3つです。それぞれどのようなサービスなのかみていきましょう。
判断力が不十分になってしまった人が不利益を被らないようにする制度のことを「成年後見制度」と言います。これを申請すれば、本人の署名のみでしか動かせないような不動産や預貯金などの財産を、申請者が管理することができるようになります。
まだ判断力が衰える前に「この人にお願いしたい」と指定することができるので、患者さんが一番信頼できる人にお願いすることができます。
このような様々な制度のことを知っておけば、いざというときでも慌てずに準備ができます。高齢化社会が進み介護相談窓口が増えて利用しやすくなっていますので、気軽に相談してみてくださいね。