進行段階

アルツハイマー病の基礎知識を身につけて、身近な人や自分が発症しても慌てないようにしましょう。ここではアルツハイマーの進行具合によって起こる、患者さん自身が感じる体や心の変化、家族や周りの人に求められる対応について記載しています。

アルツハイマー病の進行レベル

アルツハイマー病は時間が経つにつれて進行していく病気で、段階を追って徐々に日常生活に困難が生じていきます。どういった順序で変化していくのかを理解しておけば、いざ自分が病気になってしまったとき、家族が発症してしまったときも冷静な判断ができます。

段階1 認知機能の障害なし

【本人】脳内でアルツハイマーの予兆が始まっています…が、まだ認知能力に変化は見られず、日常生活になんら差し支えはありません。

【周囲】まったくもって正常。

段階2 非常に軽度の認知機能低下

【本人】慣れていた言葉や名前、鍵や眼鏡の置き場所などをど忘れすることが増えてきます。

【周囲】加齢による物忘れかな?程度で、正常の範囲。

段階3 軽度の認知機能低下

【本人】文章を読んでもほとんど覚えていなかったり、大事なものを失くしたりすることが増えます。また、計画を立てることが苦手になります。

【周囲】言葉や名称が思い出せないことが多いと感じたり、仕事能力の低下に気がつきます。

段階4 中等度の認知機能低下(軽度・初期)

【本人】最近の出来事について記憶が乏しい、難しい暗算(100から7ずつ引き算していく等)ができない、お客さんを招いた夕食の計画やお金の管理や支払いができない、自分の生い立ちに関する記憶が薄れる、などの症状が出てきます。
社交的な場や精神的に困難な状況が苦手になり、引っ込み思案になるので仕事等は続けるのが難しくなります。

【周囲】能力の劣りは感じますが、まだ普通に接することができます。買い物メモを渡しても違うものを買ってくる、献立を考えられないなどの症状が出てくるので、周囲は必要に応じて家事の役割分担などをしていきましょう。

段階5 やや重度の認知機能低下(中等度)

【本人】住所や電話番号、出身校などの情報も思い出せなくなり、場所や日付・曜日なども混乱してきます。季節に応じた服装選びや、簡単な暗算(20から2ずつ引き算していく等)も出来なくなります。
ですが、自分や周囲の人間(妻や子供)ついての知識はまだまだ残っており、食事やトイレの介助も不要です。

【周囲】介助がないと適切な衣服を選ぶ事ができないので、季節にあった服装を用意してあげる必要があります。また、患者さんの注意力が散漫になるので危ないことをしそうなときは注意して見守るようにしてください。

段階6 重度の認知機能低下(中等度~やや重度)

【本人】最近の出来事や周囲の環境についてほとんど認識ができなくなります。トイレの使用にも介助が必要になったり、粗相をしてしまうことも増えます。性格も大きく変わり、疑心暗鬼や幻覚、妄想、攻撃的な行動をしたりします。
自分の名前はまだ正しく覚えており、配偶者や身近な人の名前も時折忘れるものの、顔はきちんと覚えています。

【周囲】トイレを流す、お風呂を手伝うなど日常の補助がないと生活が難しくなります。また、患者が徘徊して迷う事もあるので施錠等には気をつけましょう(時には開けて出て行ってしまうこともありますが…)。まだ周囲の人間のことを記憶しているので心は痛みますが、施設が空いているなら入所を考えても良いかもしれません。

段階7 非常に重度の認知機能低下(重度)

【本人】ここまでくると環境への反応や会話はできず、最終的には体が制御できず寝たきりとなります。嚥下障害や筋肉の硬直、異常な反射反応なども出てきます。

【周囲】食事やトイレを含め、ほぼ全般にわたって介護が必要です。手助けしないと座れない、頭を正面に向けて保てないという状況になることもあります。これまで長期間にわたり家族だけで介護をしてきた方は、そろそろ疲労の限界かと思います…介護老人ホームなどにお願いできる枠がある場合は無理せず頼むのも手です。

アルツハイマーは発症する25年も前から始まっている!?

アルツハイマー病というと65歳以上で発症する病気ですが、実はその予兆はもっと前から始まっている可能性がある、というデータがあります。

アメリカの研究では、アルツハイマーと診断される25年も前から脳脊髄液内にある「βアミロイド」というタンパク質の濃度が低下する事がわかりました。アルツハイマーを進行させる脳内へのβアミロイドの沈着と脳の萎縮は15年前から、脳代謝・記憶の低下は10年前、全般的な認知機能の低下は5年前から始まる事がわかりました。

ただしこれは遺伝性の強い若年性アルツハイマーの患者及び家族の実験データであり、アルツハイマーの99%を占める孤発性アルツハイマー(65歳以上で発症する、一般的な症状)に当てはまるかどうかはまだ検証が必要とのことです。

とはいえ、若年性と孤発性は発症年齢が違うだけで似ているところがあるため、診断の数年前から症状が始まっている可能性は多いにあります。まだ症状が出ていなくとも、アルツハイマー予防のために新しいことに常にチャレンジし続けたり、意欲的に運動・創作活動をするなど、脳に刺激のある日々を送って予防に努めましょう。

このページの上部へ▲