【予防・改善】アルツハイマー型認知症で知っておきたいこと

アルツハイマーの症状

ここではアルツハイマーが引き起こす様々な症状、特に初期症状に関する知識について解説します。アルツハイマーと診断される前の予兆やごく初期段階で起こる小さな変化を知っておきましょう。

早期にみられる初期症状とは?

一番初めに感じるのは、「記憶障害」です。

アルツハイマーは記憶障害から始まるケースが多くなっています。

諸説ありますが、アルツハイマー発症のメカニズムとして、脳の神経細胞が死滅していく過程でアミロイドβというたんぱく質が沈着し、脳がダメージを受けることが有力視されています。初期段階でその現象が起こりやすいのが脳の海馬という部分であり、海馬は人の記憶をつかさどることからアルツハイマーの初期症状として記憶障害を起こすことが多いのです。

脳がダメージを受けてアルツハイマーを発症している場合、アミロイドβなどによる脳への影響は、症状が出始めるよりも10年以上前から始まっている場合もあります。アルツハイマーでは出来る限り早い段階で発見し、すぐに進行を遅らせるための治療を開始することが必要と言えます。

もちろんアルツハイマーでなくても、加齢とともに記憶力は衰えるため、単なる加齢による記憶力の低下か、アルツハイマーによるものなのかは簡単に判断できるものではありません。ですが、初期段階から非常に物忘れが激しいことがアルツハイマーの特徴として挙げられます。

アルツハイマーと物忘れの違い

そもそも、物忘れをしてしまうことは、誰でも起こります。例えば、人と会う約束をしていて、うっかり忘れてしまったという場合、通常であれば「いけない、忘れていた!」と思い出すことができます。

ところが、アルツハイマー病の場合だと、約束をしたこと自体を覚えておらず、そんな約束はしていないとなってしまうのが一般的な物忘れと大きく異なる点です。

そのほかの判断要素としては、抑うつ状態や不安感、人格変化、適切な言葉がなかなか出てこなかったり、判断力が低下したりするといった諸症状が同時に現れてくると、アルツハイマー病である可能性が高くなります。

記憶障害以外のアルツハイマーの前兆現象

記憶とは関係ないところで起こる「アルツハイマー病の前兆現象」としては以下のようなものがあります。

  • モノのニオイがしない、またはニオイの区別がつかない(はじめに症状が現れるのは嗅覚をつかさどる領域だといわれています)
  • 原因不明の急激な体重減少(認知障害は摂食障害に繋がりやすく、体重が減る傾向)
  • 不眠、睡眠障害(アルツハイマーの原因といわれているタンパク質の影響)

60歳を超えたら、記憶力のチェックに加えて定期的な体重測定、食事の際に嗅覚チェックをして自分の身体に異変がないか、定期的に確かめることをオススメします。

アルツハイマーの進行度別にみる症状の違い

初期アルツハイマー型認知症の症状:認知障害、記憶障害

記憶障害から始まることの多いアルツハイマーですが、その症状は段階的に進んでいきます。軽度と呼ばれる初期の段階での典型的な症状は記憶障害と認知能力の衰えです。[注1]

具体的な症状としては、以下のような症状が現れます。

  • 同じ質問を繰り返し、その自覚がない
  • 慣れていて知っているはずの道で迷子になる
  • 物の置き場所がわからなくなる、失くしものが増える
  • お金の取り扱いができなくなったり、間違いが増える
  • 疑い深くなったり、怒りっぽくなるなど、性格の変化がある
  • 判断力がなくなり、物事への関心が薄れる
  • 今まででは考えられないような失敗をする
  • すぐわかるようなウソをついたり、ごまかそうとしたりする
  • 会話が少なくなる

このような症状が現れたら専門医の診察を受けることが推奨されます。

中期アルツハイマー型認知症の症状:行動障害、精神障害

症状が進行して中期になると、行動面での症状が現れるようになります。近い記憶から失われていくことにより、話のつじつまが合わなくなったり、徘徊したり迷子になったりすることが増えます。[注1]

具体的な症状としては、以下のような症状が現れます。

  • 徘徊がふえる
  • 料理など、生活面での行動の手順がわからなくなる
  • 場所や時間がわからなくなる
  • 食事や入浴、着替えなどの日常生活で介助が必要になる
  • 失禁など、衛生面での失敗が増えるようになる
  • 言葉の意味が分からなくなったり、意味のあることが話せなくなる
  • 妄想がふえる
  • うつ状態になる

後期アルツハイマー型認知症の症状:生命維持機能の障害

脳の萎縮が進行して、徐々に寝たきりへと移行してきます。次第に嚥下するなどの生命維持に必要な行為も難しくなることで、栄養不良や誤嚥性肺炎などになることもあります。[注1]

具体的な症状としては、以下のような症状が現れます。

  • 記憶障害が進んで家族の顔もわからなくなる
  • 言葉の数が減って、コミュニケーションが取れなくなる
  • 食事ができなくなって常に介助が必要になる
  • 常に失禁するようになる
  • 歩行が困難になり、姿勢をまっすぐに保つことができなくなる
  • 寝たきりになる

アルツハイマーは原因が解明されていないこともあり、発症しても症状を改善したり完治することは非常に難しいのが現状です。とはいえ、治療が行われていないわけではなく、早期発見・治療によって病状が進行することを遅らせることはできる可能性があります。進行するにしたがって、治療も困難になりますから、少しでも症状が現れたり、気になる点がある場合は早めに専門機関を受診するようにしましょう。老人に多いのは確かですが、若年性アルツハイマーの例もありますから、年齢にかかわらず症状で判断することが大切です。

※参考元[注1]厚生労働省(認知症)

アルツハイマーの中核症状・周辺症状

アルツハイマー病の症状は、ほとんどの人に共通なものが表れますが、病気の進行速度や経過は年齢や体力などによるため、人それぞれ異なります。

  • 中核症状とは…認知機能障害(記憶や判断力、言語など脳が関係する部分)
  • 周辺症状とは…せん妄(意識障害・混乱)や抑うつ、興奮、徘徊、睡眠障害、妄想など、まだ体に残っている神経機能の反応を指します。

アルツハイマー病の治療方法とは?

前述の通り、アルツハイマー病は早期発見・早期治療が大切になってきます。実は、現代医学においては、一度発症してしまったアルツハイマー病を完治させるまでには至っていません。

早期発見・早期治療がカギ

しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば、症状の進行がゆるやかになります。クオリティ・オブ・ライフの観点からも、治療を早く始めることに、越したことはありません。少しでも兆候を感じたら、認知症専門病院や物忘れ外来、神経内科などを受診するのが賢明です。

アルツハイマー病の治療としては、現在日本では4種類の薬があり、また抗精神薬の中にも周辺症状を改善させる期待が持てるものがあります。ただし、いずれも作用機序や副作用などがあり、個人によって効きやすい、効きにくいなどもあります。医師と相談しながら、正しく服用することが大切です。詳しくは「アルツハイマーの治療薬・治療法」のページもご覧ください。

アルツハイマーの治療薬・治療法について詳しく

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