【予防・改善】アルツハイマー型認知症で知っておきたいこと

アルツハイマーの症状

ここではアルツハイマーが引き起こす様々な症状、特に初期症状に関する知識について解説します。アルツハイマーと診断される前の予兆やごく初期段階で起こる小さな変化を知っておきましょう。

早期にみられる初期症状とは?

一番初めに感じるのは、「記憶障害」です。

これはアルツハイマー病が発生するメカニズムと大きく関わっています。脳内にアミロイドβという特殊なタンパク質が溜まってしまうことで、神経細胞の働きを弱めてしまう、あるいは神経細胞を破壊してしまうからなのです。とりわけ、アルツハイマーの初期段階では、海馬という人間の記憶をつかさどる部位でこうした症状が起こりやすいため、記憶障害が発生するのだと考えられています。

また、こうした記憶障害などのが現れる何年も前から、脳内では前述のような異変が起きていると考えられており、早期発見・早期治療が重要と考えられています。ただし、その一方で、単なる加齢の影響によって、記憶力が弱くなる場合もあるため、記憶力が弱くなったというだけでアルツハイマー病が発生しているとは一概に判断できません。

アルツハイマーと物忘れの違い

そもそも、物忘れをしてしまうことは、誰でも起こります。例えば、人と会う約束をしていて、うっかり忘れてしまったという場合、通常であれば「いけない、忘れていた!」と思い出すことができます。

ところが、アルツハイマー病の場合だと、約束をしたこと自体を覚えておらず、そんな約束はしていないとなってしまうのが一般的な物忘れと大きく異なる点です。

そのほかの判断要素としては、抑うつ状態や不安感、人格変化、適切な言葉がなかなか出てこなかったり、判断力が低下したりするといった諸症状が同時に現れてくると、アルツハイマー病である可能性が高くなります。

記憶障害以外のアルツハイマーの前兆現象

記憶とは関係ないところで起こる「アルツハイマー病の前兆現象」としては以下のようなものがあります。

  • モノのニオイがしない、またはニオイの区別がつかない(はじめに症状が現れるのは嗅覚をつかさどる領域だといわれています)
  • 原因不明の急激な体重減少(認知障害は摂食障害に繋がりやすく、体重が減る傾向)
  • 不眠、睡眠障害(アルツハイマーの原因といわれているタンパク質の影響)

60歳を超えたら、記憶力のチェックに加えて定期的な体重測定、食事の際に嗅覚チェックをして自分の身体に異変がないか、定期的に確かめることをオススメします。

アルツハイマーの進行度別にみる症状の違い

軽度アルツハイマー型認知症の症状(2~6年)

症状が進行してくると徐々に記憶障害が出て、認知能力が衰えてきます。以下のような変化が起こったら、すぐに受診しましょう。

  • 通いなれた道で迷子になる
  • お金の取り扱いや請求書の支払いがうまくできない
  • 同じ質問を何度も繰り返す
  • 今までできていた作業に時間がかかるようになる
  • 判断力が低下する
  • モノをなくす、おかしな場所に置き忘れる
  • 感情および人格の変化(怒りっぽくなるケースが多い)
  • 疑い深くなる
  • 物事への関心や興味を失う

中等度アルツハイマー型認知症の症状(2~3年)

脳への影響がかなり顕著に出てきて、様々な症状が出てきます。言語や思考だけでなく、感覚や意識の領域にも影響が出るので、日常生活にも手助けが必要です。

  • 記憶障害、錯乱が悪化する
  • 家族や友人など、身近な人間も認識しにくくなる
  • 新しいことを覚えられない、状況に適応できない
  • 着替えなど、複数手順がある行動ができない
  • 幻覚、妄想
  • 衝動的行動

高度アルツハイマー型認知症の症状

ここまで来ると、脳萎縮がさらに進行してしまい、言葉の数も減り、やがては会話やコミュニケーションができなくなっていきます。また、食事や歩行なども単独では困難になり、身の回りの世話などに介助が不可欠となります。やがて身体機能も衰え、上下肢の関節が拘縮するなどの影響で、ほとんどベッドの上で過ごすか寝たきり状態になってしまいます。最終的には嚥下障害なども発生し、その影響で栄養不良や誤嚥性肺炎などが起こりやすくなります。

  • コミュニケーション能力の喪失
  • 体重減少
  • 痙攣発作
  • 嚥下障害
  • 睡眠時間増加
  • 排便・排尿障害

本人や周囲の人が症状を少しでも感じたときに受診して様々な治療法を試せば、自分に合ったものが見つかり、症状の進行をゆるやかにできる可能性があります。アルツハイマーが進行してしまうと、何年続くかわからない介護生活になってしまいますから、少しでも兆候を感じたら「自分は大丈夫」と過信せず、病院で相談してみましょう。

アルツハイマーの中核症状・周辺症状

アルツハイマー病の症状は、ほとんどの人に共通なものが表れますが、病気の進行速度や経過は年齢や体力などによるため、人それぞれ異なります。

  • 中核症状とは…認知機能障害(記憶や判断力、言語など脳が関係する部分)
  • 周辺症状とは…せん妄(意識障害・混乱)や抑うつ、興奮、徘徊、睡眠障害、妄想など、まだ体に残っている神経機能の反応を指します。

アルツハイマー病の治療方法とは?

前述の通り、アルツハイマー病は早期発見・早期治療が大切になってきます。実は、現代医学においては、一度発症してしまったアルツハイマー病を完治させるまでには至っていません。

早期発見・早期治療がカギ

しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば、症状の進行がゆるやかになります。クオリティ・オブ・ライフの観点からも、治療を早く始めることに、越したことはありません。少しでも兆候を感じたら、認知症専門病院や物忘れ外来、神経内科などを受診するのが賢明です。

アルツハイマー病の治療としては、現在日本では4種類の薬があり、また抗精神薬の中にも周辺症状を改善させる期待が持てるものがあります。ただし、いずれも作用機序や副作用などがあり、個人によって効きやすい、効きにくいなどもあります。医師と相談しながら、正しく服用することが大切です。詳しくは「アルツハイマーの治療薬・治療法」のページもご覧ください。

アルツハイマーの治療薬・治療法について詳しく

【特集】アルツハイマーの最新治療! 軽度のアルツハイマーの症状が改善した研究結果とは?【特集】アルツハイマーの最新治療! 軽度のアルツハイマーの症状が改善した研究結果とは?