治療

アルツハイマー病の基礎知識を身につけて、身近な人や自分が発症しても慌てないようにしましょう。ここではアルツハイマー病の進行を遅らせる治療に使われる薬の種類について、リハビリ療法・介護ケアの方法など、具体的な治療法についてお話しています。

アルツハイマーの治療は「進行をゆるやかにする」

アルツハイマー病は一度進行してしまうと元には戻せない病気。発症してしまったら、出た症状を元に戻すのではなく、今ある症状とは上手に付き合いながら症状の進行をなるべくゆるやかにしたり、行動・心理状態に対処するような治療をしていきます。

投薬治療で利用できる薬は4種

以前はアリセプトという薬1種しかありませんでしたが、近年3種の薬が使えるようになり治療の選択肢が増えました。

  • アリセプト(別名:ドネペジル) : コリンエステラーゼ阻害薬※1。症状の進行度合いを問わずに使える。メマリー以外とは併用不可。症状改善は50%程度、不変が35%程度。
  • イクセロンパッチ(別名:リバスタッチパッチ、リバスチグミン) : コリンエステラーゼ阻害薬。軽度~中等度のアルツハイマー病の治療に使える。メマリー以外とは併用不可。貼り薬で、必要な効果にあわせて量を調整する事ができる。
  • レミニール(別名:ガランタミン) : コリンエステラーゼ阻害薬。軽度~中等度のアルツハイマー病の治療に使える。メマリー以外とは併用不可。
  • メマリー(別名:メマンチン) : NMDA受容体拮抗薬※2。中等度~高度のアルツハイマー病の治療に使える。どの薬とも併用可能。

※コリンエステラーゼ阻害薬…脳内のアセチルコリンを増やす。アセチルコリンが減ると物忘れが起こるので、記憶を改善する効果が期待できる。
※NMDA受容体拮抗薬…脳内のグルタミン酸を抑え、悪影響から神経を守る。グルタミン酸過剰になると、記憶に関係する神経の働きが悪くなり思考や判断力に影響が出る。

これらの薬は人によって効果が高く出るもの、そうでないものがあります。また、限られた期間しか高い効果がでない場合もあります。しかし効果が出ないからといって、症状が進行しているのかといえば一概にそうとはいえません。進行を抑制できていれば、目に見える効果が出てこなくても「効いている」といえますし、薬を変えたからといってそこまで大きな結果は得られない、というのが現状のようです(人によっては良い反応が出る場合があります)。なので、薬の変更は医師と充分に協議することをオススメします。

患者の出来ることを生かすリハビリ療法

アルツハイマーのリハビリ療法は、脳に適度な刺激を与えることで認知症の進行スピードを緩めたり、失われた能力を回復させることを目的としています。一般的なリハビリは「できないことを出来るようにする」ですが、アルツハイマーの場合は出来ないことを無理強いするのはNG。「出来ることを生かして活動してもらう」のが大切です。

  • 回想法 : 過去の思い出や子供の頃の遊びなど、患者さん同士の共通する話題で語り合って脳を刺激します。楽しかった頃の話をすることで、一時的に病気の不安や混乱から開放され、心も楽になります。家庭でも取り入れられる上、患者さんも楽しく出来る治療です。
  • 絵画療法 :言語や思考など左脳を使うのは苦手になりますが、感性・想像力など右脳の能力は比較的維持できます。単なる絵画ではなく一筆書きや刷毛を使うなど様々な方法で絵を描いて右脳を活性化させると、攻撃性や幻覚・妄想などの症状が改善される可能性があります。
  • 音楽療法 : 好きな曲を聴いたり歌う、カスタネットやタンバリンなどを演奏します。コミュニケーションが難しい人でも、合唱などに参加して楽しむ事ができます。音楽は脳を活性化させるだけでなく、リラックス効果も高く食欲が増したり、よく眠れるようになる、笑顔が増えるなど良い効果がたくさんあります。また、思い出のある音楽を聴くと昔を思い出すので脳への刺激にとても良いです。
  • 運動療法 : 30分程度のウォーキング等の軽い有酸素運動をします。話しながら楽しく歩くことで脳に多方面からの刺激を与えられるほか、体力維持もできます。

介護ケアで大切なのは不安を取り除くこと

アルツハイマーは徐々に進行する病気なので、介護ケアは失われた機能をしっかりと確認し、必要な援助を行います。

患者さんは記憶や見識などの障害から始まり、色々なことがあやふやになっているため不安を感じているケースがとても多いです。そのため、集団で賑やかに過ごしたり、手を握る、添えるなど不安をぬぐうようなことを積極的に取り入れましょう。

また、もし患者さんが世界観の違う話を始めても、それを否定せずに受け入れ、一緒にその世界観に染まることで穏やかな時間をすごす事ができます。

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